スワジランド紀行

 

   アフリカ最後の絶対君主である国王が主催する、8万人の処女が参加したリードダンス

 旅の初めに・・・

 2014年9月、スワジランドの旅を計画した。

 以前、南アフリカを旅した時に見た地図上で、南アフリカの国土の中にスワジランドと、レソトが不自然に存在するのを発見した。

 しかも両国ともに王国で、国土は日本の四国程度である。

 マスコミや情報誌によると、国王主催のリードダンスなるものがあり、その中から王妃を毎年選ぶといういう現代では信じられない蛮勇をする国王であるらしい。

 戦国時代の山賊か海賊もどきが、まだ存在するという事で、否が応でも好奇心が募っての今回の旅である。

  南アフリカの一部に王国は存在する        首都はムババーネ

  

    

 ワンポイント情報

 ・国名     スワジランド王国       ・民族構成  スワジ族、ズールー族、トンガ族
 ・面積     四国とほぼ同じ        ・宗教     原始宗教、キリスト教     
 ・人口     117万人             ・言語      英語、シスワティ語
 ・首都     ムババネ             ・産業     濃縮清涼飲料、砂糖、パルプ、柑橘類 
 ・宗主国    イギリス              ・特徴     アフリカ最後の絶対君主

   モザンピーク→(バス)→スワジランドロバンバ

    モザンピークと比較し、スワジランドは一見豊かそう             民家や集合住宅も立派

  ☆人間開発指数

 人間開発指数とは、その国の、人々の生活の質や発展度合い
を示す指標である。1993年以降、国連年次報告の中で各国の
指数が公表されている。

 平均余命指数、出生時平均余命(歳)、教育指数(成人識字率 )、
総就学指数、購買力平価で計算した一人当たりGDPなどの指数である。

 2014年の発表では上位から

 1.ノルウェー 2.オーストラリア 3.スイス 4.オランダ 5.アメリカ

 ちなみに日本は17番目である。

 東南アフリカ7カ国の人間開発指数

 140/187カ国  スワジランド

 160/187     レソト

 161/187     ウガンダ

 166/187     ルワンダ

 170/187     マラウィ

 184/187     モザンピーク

 185/187     ブルンジ

   ☆ スワジランド・・・

 

 イギリス連邦加盟国。周囲を南アフリカモザンビークに囲まれた内陸国

 国名は、「スワジ人の国」という意味。

 国王の強大な権力が保障されており、政府の要職の多くも王家が占めるなど、絶対君主制の様相を呈している。

 住民の約1%ほどの白人が経済の実権を握り、私有地の大半を保有。一般国民の生活水準は低い。電力の約80%を南アフリカからの輸入に依存。

 エイズ蔓延と治安悪化の影響で2008年の平均寿命は男41歳・女43歳である。2007年の15~49歳のHIV感染率は約25%である

 肥沃な土地、温暖な気候、水・鉱物資源等の好条件に恵まれ、農林業と農業関連産業に依存している。

 国自体の起伏が激しい上に降水量が多いため、植生が豊かで風景は変化に富んでいる。

 

         ☆ロバンバ

 ロバンバは、スワジランドの王都。行政首都はムババネであるが、ロバンバには王宮議会が置かれており、立法の首都となっている。また、王母の宮殿もロバンバにある。人口は5800人

 ロバンバは王家の主催する二つの祭りで有名である。

 ひとつは王母によって開催されるウムランガ(リード・ダンス)であり、8月と9月に行われる。もうひとつは国王によって開催されるインクワラであり、12月と1月に開催される。
 これらの祭りは伝統的なものであり、民族衣装と伝統舞踊によって祝われる。

   ☆国立博物館

       博物館入口          広い館内    現地ガイドは民族衣装で現れた

                 9月は春      スワジランド人の像

           現国王の母(館内の写真)             現国王

  

    博物館に見学に来ていた学生は、珍しそうにこちらを眺める         民族衣装のガイド

      博物館内の展示物、リードダンス          リードダンス等身代の人形

         上半身裸     処女のみ参加資格   アシの枝を束ねて参加する

 

  ☆アフリカ最後の絶対君主

     
                   国王ムスワティ3世

 国民の1/3が貧困層であるという事実を軽視し、王室費だけでは飽き足らず、僅かな国家予算に手をつけて自家用のセスナ機やダイムラー製の高級車マイバッハ(1億円前後)を購入したり、14名の妻のためにいくつもの宮殿を建設したりするなど、その散財癖が各国の非難を呼んでいる。

 また、処女のみが参加を許されるリード・ダンスという国王のためのダンス儀式も行われ、毎年恒例となっている。

 2014年のリードダンスには実に8万人もの処女が参加した。参加した女性は、国王の15番目の妻に選ばれて宮殿を賜りたいなどと発言している。

 また、王様は自分より強い者とは戦わないと言う不戦主義の姿勢を続けてきた。

 2004年には第5夫人と第6夫人の不倫が発覚。宮殿を去った。第5夫人は現在ロンドン、第6夫人は南アフリカのソウェトに住んでいる。今回も第12夫人の不倫発覚で、ムスワティ王は「恥をかいた」とカンカン。不倫情報を外部に漏らした人間を突き止めると息巻いているらしい。

         ☆現国王の父親は更に豪傑

 現国王ムスワティ3世の父で、ソブーザ2世1899年1982年)はスワジランドの第7代国王
 
 61年間近く即位し崩御するまで君主として世界最長不倒記録(1982年当時)保持者であった。

 政情不安なアフリカにあって長期間にわたり政権を維持し続けた有能な政治家であった。

 100人を超す妻と、600人近い王子女がいた。

 

     ☆スワジ民俗村

         16世紀頃の住宅               草ぶき住宅

               住宅内部              柵は家畜用

    ☆スワジ人

 スワジ人は、南部アフリカ民族であり、スワジランド国民の大半は、スワジ人である。

 スワジランドより南アフリカ共和国に多く居住している。

 一夫多妻制が認められている。

 

               9月頃はジャカランタの花が満開

    前国王ソブーザ2世の霊廟

          霊廟入口         豪華な内部      国民の血税の霊廟

           ☆スワジランドのカレンダー

 

     ☆ショッピングセンター

             近代的建物           先進国と変わらない内部

             品揃えは豊富             ホワイトライス

 

          首都ムババーネ

 ムババーネは、スワジランド首都王宮議会ロバンバにあり、経済の中心はマンジニであるが、行政府はムババネに置かれている。

 人口は95,000人(2007年)。ムババーネの名称は、イギリスの開拓団が到着した際の先住民の酋長の氏名から付けている。

 

      ☆ホテル

    ホテルは白人が経営する森の中のロッジ             マンテンガ・ロッジ

    レストランの外部、白人ばかりであった     ランプの明かり     欧米人が多いのでステーキ

 

     国王主催の儀式:リードダンス

      8万人の処女が参加、担いでいるのはアシの枝 上半身は生まれたまま、選ばれると15人目の王妃になれる?

 

      動画・・・リード・ダンス クリック

 

         8万人が宿泊するテント村       テントの中、雑魚寝に近そう

 

    HIV感染率世界一のスワジランドで「処女ダンス」、問題視される舞台裏

 自分が処女であることをアピールする毎年恒例のこの伝統行事は、舞台裏での良からぬ行為が問題視されるようになっているという。

 既に13人の妻を持つムスワティ3世がこうした少女の中から新たな伴侶を選ぶことは、もはや慣例となっている。

 少女たちは、出身地から同行した男性の「お目付役」により守られ、少女たちが儀式の期間中に寝起きするベースキャンプには警官が配備されるとも言われている。だが、親の監視を離れて自由時間もたっぷりある10代の少女数万人が集まるとなると、セックスのことしか頭にない男たちも吸い寄せられるように集まってくることになる。

 キャンプの入り口付近をうろついていた大勢の男たちの1人は、「なにしろたくさんいるんだ。選び放題さ。フェンスの隙間から声をかければいいだけの話さ」と記者に語った。

キャンプは歌声と笑い声で満ちあふれ、陽気なムードが漂っている。だが、少し離れた場所となると話は別だ。

 少女たちは太陽が昇るころに、付近の川で丸裸になって体を洗う。男たちはこの光景を欲望のまなざしでのぞき見する。この川に沸く温泉、別名「カドルパドル(抱擁の水たまり)」は、セックスの隠語となっている。

  「わたしたち、今夜はカドルパドルに行って、明日はクラブに行くの」と、ある18歳の少女は自慢げに話した。

 スワジランド王国の40数パーセントの大人がエイズ感染者で、その結果平均寿命は、2008年の平均寿命が男41歳・女43歳である。

 国王のこの様な行為が青少年に与える影響は当然良いわけではない。独裁者の頭の構造は、紀元前以前のものなのか。常識も良識も通じないスワジランドである。

 

    8万人の処女を見て御満悦そうな王               正装した王

 

         14人の王妃、しかし3人は外国に逃避している

 

     国王の娘も、昔参加していた     世界最高のお祭り?   8万人から1人、どのようにして選ぶ?

8万人の処女が参加するリードダンス

         ☆国王のエイズ対策

 エイズの蔓延を防ぐため、スワジランドのムスワティ国王が出した法令は、「若い女性のセックスを5年間禁止」にしたのである。
 男性と握手をすることも禁止。性体験のない女性は青と黄色のふさを身につける。19歳以上の女性は赤と黒のふさを身につける。そして、この法律を破った者には「牛一頭分の罰金」が課せられることになった。

 また、ムスワティ国王はこんな法律も出している。「10歳以上の女性のミニスカート禁止」という法律。
授業中に教師が欲情したら困る、という理由。

 あまりにも時代錯誤で差別意識丸出しな法律に、世界中の女性団体が怒りの声をあげたという。

 しかし、ユニークなのは国王が自分でこの法律を破ってしまったのである。当時33歳のムスワティ国王は17歳の少女と婚約したのである。女性の猛烈な抗議に、国王はあっさり罪を認め、牛を一頭差し出したと言う。

    ☆スワジランド→次はレソトへ

  燃料の多くは薪、束で店頭に並ぶ     首都ムババーネの街並み 一旦、南アフリカの国境に出て一路レソトへ

 

        ☆略史

  年月                    略史

 石器時代              ブッシュマン(砂漠に住む狩猟採集民族)が住む
 16世紀              スワジ人が定着
 19世紀              スワジ王国が誕生
 1880年代             イギリスの統治を受ける
 1967年              イギリスの保護領となる
 1968年              スワジランド王国として独立
 1921~1982          現国王の父、ソブーザ2世が91年間国王となる
 1986~              現国王ムスワティ3世が国王として28年目となる
                      野党や反対派をことごとく退けている。 

        ☆アフリカ8カ国一覧

国名

面積

人口

首都(人口)

民族

言語

宗主国

宗教

産業

識字率

平均寿命

ウガンダ

本州と同じ

3,300万人

カンパラ
(人口142万人)

原住民族

英語、スワヒリ語、ルガンダ語

イギリス

キリスト教60%、伝統宗教30%、イスラム教10%

鮮魚、コーヒー、紅茶、綿花、タバコ

67%

58.6才

ルワンダ

四国の1.4倍

1,000万人

キガリ
(人口33万人)

国民の84%フツ、15%がツチ

キニアルワンダ語、英語、仏語

ベルギー

カトリック57%、プロテスタント26%

コーヒー、茶

65.3%

63.5才

ブルンジ

四国の1.5倍

850万人

ブジュンブラ
(人口23万人)

フツ族90%、ツチ族10%

仏語、キルンジ語

ベルギー 

カトリック65%、プロテスタント10%、伝統宗教23%

農業(コーヒー、茶) 

65.9%

53.6才

マラウィ

北海道+九州

1,526万人

リロングウェ
(人口65万人)

バンツー系

チェワ語、英語

イギリス

キリスト教75%

タバコ、紅茶、砂糖、綿花、コーヒー

72.8%

47.0才

モザンピーク

日本の約2倍

2,289万人

マプト
(人口188万人)

マクア・ロムウェ族など43部族

ポルトガル語

ポルトガル

キリスト教(41%)、イスラム(17.8%)、原始宗教

農業、漁業

54.0%

49.8才

スワジランド

四国と同じ

117万人 

ムババネ
(95万人)

スワジ族、ズールー族、トンガ族

 英語、シスワティ語

イギリス

原始宗教、キリスト教

濃縮清涼飲料、砂糖、パルプ、柑橘類 

85.6%

42.0才

レソト

九州の1/7

200万人

マセル
(人口18万人)

バソト族

英語、ソト語

イギリス

キリスト教

農業、牧畜

女性90.3%。
男性71.3%

48.8才

南アフリカ

日本の3.2倍

5,119万人

プレトリア
(人口52万人)

黒人、白人、カラード、アジア系

英語、アフリカーンス語、計11が公用語

イギリス

キリスト教、イスラム教

金は世界の産出量の半分を占める

89.0%

56.1才

                    ☆アフリカはかって殆どがヨーロッパの植民地

1912年の植民地

 旅を終えて・・・

 今年のリードダンスには旅行日程が合わなく、残念ながら終了していた。

 放蕩息子の国王はやりたい放題である。女のことしか頭に無いのかも知れない。また自分より強い者、強い国とは戦わないと云うのがこの国の決まりであるとか、この様ないい加減な国が2世紀に渡り、よく生き永らえてきたもんだと感心してしまう。

 多分周辺国や統治国は小国であり、取るに足らぬ国と相手ににしなかった事だろう。

 国民の多くは生活難から、隣国の南アフリカへ出稼ぎをして家庭を維持しているという。

 少し可哀想なのは、スワジランド王国の40数パーセントの大人がエイズ感染者であり、あと数年でエイズでない女性はいなくなるかもしれない。すると国王はリードダンスを開催できなくなるだろう。かなり可哀想である。

 裸の王様よ、永遠なれ!

                                           おわり

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