スワジランド紀行
アフリカ最後の絶対君主である国王が主催する、8万人の処女が参加したリードダンス |
旅の初めに・・・ 以前、南アフリカを旅した時に見た地図上で、南アフリカの国土の中にスワジランドと、レソトが不自然に存在するのを発見した。 しかも両国ともに王国で、国土は日本の四国程度である。 マスコミや情報誌によると、国王主催のリードダンスなるものがあり、その中から王妃を毎年選ぶといういう現代では信じられない蛮勇をする国王であるらしい。 戦国時代の山賊か海賊もどきが、まだ存在するという事で、否が応でも好奇心が募っての今回の旅である。 |
南アフリカの一部に王国は存在する | 首都はムババーネ |
ワンポイント情報 ・国名 スワジランド王国 ・民族構成 スワジ族、ズールー族、トンガ族 |
☆モザンピーク→(バス)→スワジランドロバンバへ
モザンピークと比較し、スワジランドは一見豊かそう | 民家や集合住宅も立派 |
☆人間開発指数
☆ スワジランド・・・
イギリス連邦加盟国。周囲を南アフリカとモザンビークに囲まれた内陸国。 国名は、「スワジ人の国」という意味。 国王の強大な権力が保障されており、政府の要職の多くも王家が占めるなど、絶対君主制の様相を呈している。 住民の約1%ほどの白人が経済の実権を握り、私有地の大半を保有。一般国民の生活水準は低い。電力の約80%を南アフリカからの輸入に依存。 エイズ蔓延と治安悪化の影響で2008年の平均寿命は男41歳・女43歳である。2007年の15~49歳のHIV感染率は約25%である。 肥沃な土地、温暖な気候、水・鉱物資源等の好条件に恵まれ、農林業と農業関連産業に依存している。 国自体の起伏が激しい上に降水量が多いため、植生が豊かで風景は変化に富んでいる。 |
☆ロバンバ
ロバンバは、スワジランドの王都。行政首都はムババネであるが、ロバンバには王宮と議会が置かれており、立法の首都となっている。また、王母の宮殿もロバンバにある。人口は5800人。 ロバンバは王家の主催する二つの祭りで有名である。 ひとつは王母によって開催されるウムランガ(リード・ダンス)であり、8月と9月に行われる。もうひとつは国王によって開催されるインクワラであり、12月と1月に開催される。 |
☆国立博物館
博物館入口 | 広い館内 | 現地ガイドは民族衣装で現れた |
9月は春 | スワジランド人の像 |
現国王の母(館内の写真) | 現国王 |
博物館に見学に来ていた学生は、珍しそうにこちらを眺める | 民族衣装のガイド |
博物館内の展示物、リードダンス | リードダンス等身代の人形 |
上半身裸 | 処女のみ参加資格 | アシの枝を束ねて参加する |
☆アフリカ最後の絶対君主
国王ムスワティ3世 |
国民の1/3が貧困層であるという事実を軽視し、王室費だけでは飽き足らず、僅かな国家予算に手をつけて自家用のセスナ機やダイムラー製の高級車、マイバッハ(1億円前後)を購入したり、14名の妻のためにいくつもの宮殿を建設したりするなど、その散財癖が各国の非難を呼んでいる。 また、処女のみが参加を許されるリード・ダンスという国王のためのダンス儀式も行われ、毎年恒例となっている。 2014年のリードダンスには実に8万人もの処女が参加した。参加した女性は、国王の15番目の妻に選ばれて宮殿を賜りたいなどと発言している。 また、王様は自分より強い者とは戦わないと言う不戦主義の姿勢を続けてきた。 2004年には第5夫人と第6夫人の不倫が発覚。宮殿を去った。第5夫人は現在ロンドン、第6夫人は南アフリカのソウェトに住んでいる。今回も第12夫人の不倫発覚で、ムスワティ王は「恥をかいた」とカンカン。不倫情報を外部に漏らした人間を突き止めると息巻いているらしい。 |
☆現国王の父親は更に豪傑
現国王ムスワティ3世の父で、ソブーザ2世(1899年~1982年)はスワジランドの第7代国王。 政情不安なアフリカにあって長期間にわたり政権を維持し続けた有能な政治家であった。 100人を超す妻と、600人近い王子女がいた。 |
☆スワジ民俗村
16世紀頃の住宅 | 草ぶき住宅 |
住宅内部 | 柵は家畜用 |
☆スワジ人
スワジ人は、南部アフリカの民族であり、スワジランド国民の大半は、スワジ人である。 一夫多妻制が認められている。 |
9月頃はジャカランタの花が満開 |
☆前国王ソブーザ2世の霊廟
霊廟入口 | 豪華な内部 | 国民の血税の霊廟 |
☆スワジランドのカレンダー
☆ショッピングセンター
近代的建物 | 先進国と変わらない内部 |
品揃えは豊富 | ホワイトライス |
☆首都ムババーネ
ムババーネは、スワジランドの首都。王宮と議会はロバンバにあり、経済の中心はマンジニであるが、行政府はムババネに置かれている。 人口は95,000人(2007年)。ムババーネの名称は、イギリスの開拓団が到着した際の先住民の酋長の氏名から付けている。 |
☆ホテル
ホテルは白人が経営する森の中のロッジ | マンテンガ・ロッジ |
レストランの外部、白人ばかりであった | ランプの明かり | 欧米人が多いのでステーキ |
☆国王主催の儀式:リードダンス
8万人の処女が参加、担いでいるのはアシの枝 | 上半身は生まれたまま、選ばれると15人目の王妃になれる? |
動画・・・リード・ダンス (←クリック ) |
8万人が宿泊するテント村 | テントの中、雑魚寝に近そう |
8万人の処女を見て御満悦そうな王 | 正装した王 |
14人の王妃、しかし3人は外国に逃避している |
国王の娘も、昔参加していた | 世界最高のお祭り? | 8万人から1人、どのようにして選ぶ? |
8万人の処女が参加するリードダンス |
☆国王のエイズ対策
エイズの蔓延を防ぐため、スワジランドのムスワティ国王が出した法令は、「若い女性のセックスを5年間禁止」にしたのである。 あまりにも時代錯誤で差別意識丸出しな法律に、世界中の女性団体が怒りの声をあげたという。 しかし、ユニークなのは国王が自分でこの法律を破ってしまったのである。当時33歳のムスワティ国王は17歳の少女と婚約したのである。女性の猛烈な抗議に、国王はあっさり罪を認め、牛を一頭差し出したと言う。 |
☆スワジランド→次はレソトへ
燃料の多くは薪、束で店頭に並ぶ | 首都ムババーネの街並み | 一旦、南アフリカの国境に出て一路レソトへ |
☆略史
年月 略史 石器時代 ブッシュマン(砂漠に住む狩猟採集民族)が住む |
☆アフリカ8カ国一覧
国名 |
面積 |
人口 |
首都(人口) |
民族 |
言語 |
宗主国 |
宗教 |
産業 |
識字率 |
平均寿命 |
ウガンダ |
本州と同じ |
3,300万人 |
カンパラ |
原住民族 |
英語、スワヒリ語、ルガンダ語 |
イギリス |
キリスト教60%、伝統宗教30%、イスラム教10% |
鮮魚、コーヒー、紅茶、綿花、タバコ |
67% |
58.6才 |
ルワンダ |
四国の1.4倍 |
1,000万人 |
キガリ |
国民の84%がフツ、15%がツチ |
キニアルワンダ語、英語、仏語 |
ベルギー |
カトリック57%、プロテスタント26% |
コーヒー、茶 |
65.3% |
63.5才 |
ブルンジ |
四国の1.5倍 |
850万人 |
ブジュンブラ |
フツ族90%、ツチ族10% |
仏語、キルンジ語 |
ベルギー |
カトリック65%、プロテスタント10%、伝統宗教23% |
農業(コーヒー、茶) |
65.9% |
53.6才 |
マラウィ |
北海道+九州 |
1,526万人 |
リロングウェ |
バンツー系 |
チェワ語、英語 |
イギリス |
キリスト教75% |
タバコ、紅茶、砂糖、綿花、コーヒー |
72.8% |
47.0才 |
モザンピーク |
日本の約2倍 |
2,289万人 |
マプト |
マクア・ロムウェ族など43部族 |
ポルトガル語 |
ポルトガル |
キリスト教(41%)、イスラム(17.8%)、原始宗教 |
農業、漁業 |
54.0% |
49.8才 |
スワジランド |
四国と同じ |
117万人 |
ムババネ |
スワジ族、ズールー族、トンガ族 |
英語、シスワティ語 |
イギリス |
原始宗教、キリスト教 |
濃縮清涼飲料、砂糖、パルプ、柑橘類 |
85.6% |
42.0才 |
レソト |
九州の1/7 |
200万人 |
マセル |
バソト族 |
英語、ソト語 |
イギリス |
キリスト教 |
農業、牧畜 |
女性90.3%。 |
48.8才 |
南アフリカ |
日本の3.2倍 |
5,119万人 |
プレトリア |
黒人、白人、カラード、アジア系 |
英語、アフリカーンス語、計11が公用語 |
イギリス |
キリスト教、イスラム教 |
金は世界の産出量の半分を占める |
89.0% |
56.1才 |
☆アフリカはかって殆どがヨーロッパの植民地
|
1912年の植民地 |
旅を終えて・・・ 今年のリードダンスには旅行日程が合わなく、残念ながら終了していた。 放蕩息子の国王はやりたい放題である。女のことしか頭に無いのかも知れない。また自分より強い者、強い国とは戦わないと云うのがこの国の決まりであるとか、この様ないい加減な国が2世紀に渡り、よく生き永らえてきたもんだと感心してしまう。 多分周辺国や統治国は小国であり、取るに足らぬ国と相手ににしなかった事だろう。 国民の多くは生活難から、隣国の南アフリカへ出稼ぎをして家庭を維持しているという。 少し可哀想なのは、スワジランド王国の40数パーセントの大人がエイズ感染者であり、あと数年でエイズでない女性はいなくなるかもしれない。すると国王はリードダンスを開催できなくなるだろう。かなり可哀想である。 裸の王様よ、永遠なれ! おわり |